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穏やかな心を取り戻すために―許すことの大切さとセルフコンパッションについて
この「自信がない人が「自己肯定感」を高める方法」は、12ステップからなっています。まだ、STEP1、STEP2、STEP3、STEP4をお読みでない方は、ぜひ、こちらを先にご覧になってください。
STEP1 心を癒しながら、自分の中に明るい光を見つける「ブライト・ライト・ワーク」
STEP3 心を見つめるためにー認知行動療法的な見方から学ぶ
憎んでいる人はいますか?
私たちにとって、日々安らいだ心、穏やかな心で生きられることは、それ自体がとても幸福なことであると思います。でも、実際には、日々の中で人間関係のストレスや、仕事や家族との関係などで、心が怒りや不安感、恐れでいっぱいになってしまうことも多いのではないでしょうか。
特に、日々のストレス以上に、私たちの人生に影を落とす要因となっているのが、心に強い憎しみや恨みの気持ち、許せなさを抱いている場合です。
過去、両親や、自分をいじめ傷つけた人達、ハラスメントをした人、トラウマになるよう来事事を経験した方にとっては、簡単に相手を許すことができないのは無理もありません。
ただ、心に「憎しみ」や「恨み」の気持ちがあると、何が一番問題かと言えば、その人自身が幸せになれないことです。
また、長い間、心に「憎しみ」や「恨み」「許せなさ」を持ち続けていると、ガンやウツなど様々な病気の一因になって、身体的にも心理的にも病態化しやすいと言われています。
私は様々なセッションの中で、どうしても許せないような強い怒りや憎しみ、復讐したいような許せなさを解放するサポートをさせていただいていますが、時々、相手を許したら、相手が楽になってしまうから「憎しみ」を手放せないと言われる方がいらっしゃいます。でも、実際は相手の心の問題ではなく、許せない気持ちを持ち続けると、自分が一生楽になれないのです。残念ながら、「人を呪わば穴二つ」のことわざ通りなのです。他人を害する思いを出したり傷つけたりしようとすれば、その憎しみや呪いの念いによって、自分も同じ報いを受け、結局自分に何らかの不幸が増えるだけです。
ですので、今すぐに許すことを選択はできなくとも、自分自身が本当に幸せになるために、許せない気持ちや憎しみを抱えている「自らの心を癒すこと」から始めましょう。
許せない人、憎んでいる人がいて、まだ過去が十分に癒えていない方にとっては、時間をかけて、傷ついた心を癒すことから始めることが、何より大切なことだと思います。
自分を許せない人はとても多いです
許せない気持ちの中で、他者を許せずに苦しんでいる人がいる一方で、自分を許せないでいる人も、非常に多いものです。明確に人生の中で、何らかの罪を犯した自覚、人を傷つけた後悔、失敗体験、挫折体験などを持っていて、自分を許せない方もいらっしゃいますが、それだけではありません。病気の方や、うつ、適応障害などで休職をした経験を持つ方、生きづらさを感じている方、完全主義的な傾向のある方は、心身の不調が起きていて、たとえ思うように動けない時でも、そうした自分が許せず、罪悪感が生じて本当の意味で「休む」ことができないというようなことも、よくよくあります。
どちらの場合であっても、根本的な原因は「ありのままの自分」を認め、受け入れ、許せていないことにあります。
実は、これが、あなたをいつまでも不自由にし、なりたい自分に向かわせない大きな原因の一つになっています。まじめな人ほど、完全主義的な人ほど、自己処罰の思いが強い人ほど、少しでも不足があり、できていないところがあることが許せないでいます。たとえ8割9割できていても、残りの1割2割ができていないことにフォーカスをしてしまい、そんな自分を認め、許すことができなくて、かえって不完全な人生を生きてしまいがちです。
私たちは、誰もが完全な存在として創られてはいません。人間として肉体を持って生きている以上、誰もが不完全な自分、不完全な人生を生きざるを得ないのだということをまずは受け入れる必要があるのだと思います。自分も他の人も不完全にしか生きられないのだということを認め合った上で、それでもよりよく生きるためにはどうしたらいいかを、探求しながら生きていく存在であるのではないでしょうか。
不完全にしか生きられない自分や他人を「許す」ことは、けっして簡単ではないけれども、よりよい人生を生きていくためにも、自己肯定感を高めるためにも、とても大切なことであると思います。
過去の自分、現在の自分、ありのままの自分、自信を無くし、未来に不安を感じている自分、まずは、どんな自分も認め、受け入れ、許していく練習から始めていきませんか。
どんな感情も、どんな自分も「許していいんだ」と許可を与えましょう
アプローチはとてもシンプルです。
1 まずは、受け入れられない状況や自分の心を取り上げながら、TFTを実施。
2 その後、起きた出来事、その気持ちや思い、どんな状態も、「今はそれでいいんだ」と許してみましょう。
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今は「怒りがあってもいいんだ」「悲しんでいいんだ」「不安になってもいいんだ」「失敗してもいいんだ」「完全でなくていいんだ」「○○したことを許していいんだ」「できなくていいんだ」
というように、「今は」と頭につけてあげることで、罪悪感が弱まり、ずっとそれでいいと言っているわけではないが、「今はそれでいいんだ」と許可が出せるようになっていきます。
このアプローチは「許すこと」の体験を深めること自体に、大きな価値と恩恵がありますが、それだけではありません。
これまで自分を許してこず、頑張り過ぎていた極端から、もう一方の「どんなことでも許す」という極端を味わうことには、とても大きな意味があります。
なぜなら、両極端を知ることで、バランスの取れた自分らしいあり方とは、どのようなものなのかが、初めて見えてくるからです。
自分らしい真ん中(中道)はどのへんなのかが見えてくるようになることで、その人はもっと自然体で、自分らしい人生を生きていくことができるようになるのです。
まずは1か月、本気で取り組むと変化を感じることができると思います。
やれそうな人は、ぜひ、今日から始めてみてくださいね。
今の自分にセルフコンパッションできる時間を持ちましょう
セルフコンパッションとは、自分への受容、共感、思いやりのこと。
あなたがあなたの「ベストフレンド」になってあげるということ。
自己肯定感が低い人は、人には気を使っても、自分のことは好きになれなかったり、ぞんざいに扱ったり、自己否定や自己処罰が強い傾向にあります。
ぜひ、少しずつでいいので、自分に対しても、自分の気持ちや思いを受け止めていきながら、やさしく接することができるようにチャレンジしてみてください。自分を大切にできるようになると、他の人に対しても、人の目を気にして何かをしてあげたり、気を遣いすぎるというようなことがなくなり、自分も相手も害することなく、尊重できるように少しずつなっていきますよ♪
ポイントは、あなたがあなたのベストフレンドになったつもりで接することです。
あなたが辛いときに、親友ならあなたに寄り添って、やさしく励まし、「大丈夫だよ」「○○はいつも頑張ってきたじゃない。すごいことだよ」というように、温かな思いやりを示してくれますね。
あなたが、あなたの親友になったつもりで、自分で自分に対して、ありのままのあなたを認め、許し、慰め、励ましたり思いやったりする言葉をかけていきましょう。やり方はシンプルです。最初のうちは、少し戸惑うかもしれませんが、少しずつ自分にしっくりくる形で言葉をかけてみましょう。
・ひとり静かな時間を取りましょう。
・自分を自分で抱きしめたり、両手を交差して胸に当てながら行うと効果的です。
・目を閉じ、自分のありのままの気持ちを感じながら、今の自分に一番やさしい言葉をかけてあげましょう。
1 ありのままの感情や思いを受け入れる
「不安を感じていいんだよ」「悲しければ、泣いていいんだよ」「怒りを感じても大丈夫」
2 自分に対して温かなやさしさや励まし、思いやりを示す
「本当につらかったね。」「悲しいね。傷ついちゃったんだよね」「いつも頑張っているよ。えらいね」「大好きだよ」「自分を信じていいんだよ」
3 自分を責めたり裁いたりする気持ちを受け入れながらも、許すことを促す
「もう、そんなに自分を責めなくて大丈夫」「自分を許していいんだよ」「完璧でなくてもいいんだよ」「大丈夫。もう、そんなに頑張りすぎないで、いいんだよ」
- セルフコンパッションを行うことで、得られる気持ちや感覚を、ぜひ味わってみてください♪
【おすすめのセルフワーク】
・自分が受け入れられていない、許せていない状態や気持ち、思いなどを取り上げて、まずはTFTを行います。
・その後、「今は、○○でいいんだ」と、何度も口に出して言っていきます。この時も必要ならタッピングをしながら行ってみてください。
・日々の中で、起きることすべてに「今は、○○でいいんだ」と許し続けることにチャレンジしてみましょう。
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STEP5はここまでです。これまでいつも完全主義的で、努力家であった方ほど、この「許可を与える」ということをむずかしく感じられることと思います。
常に「○○でなければならない」「○○であるべき」と自分を律して、うまくいかないと自分を否定して、さらに頑張ろうとするという生き方をしてきた方にとって、「許可を出す」ということは、真逆のことだからです。でも、だからこそ、非常に大きな変化が生まれるきっかけにもなるのが、この「許可を出す」というアプローチです。自分にも人にも許しを与えられるようになると、選択幅が広がり、心の自由が広がるようになります。ですので、少しずつ身につけて行ってくださることを願っています。
今日も、最後までお読みくださって、ありがとうございました。
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